それでもすごいなあ。一人で入部する勇気……わたしにはないものだなあ。
「んで、マネージャーにすんごい可愛い子がいる!!」
「おお……!」
夕希先輩の食い気味の言い方のせいか、わたしも少し目を輝かせてしまう。
もしかして、その子が利久くんの言ってたかわいい子だろうか? やっぱり誰が見ても可愛いのか。……一目でいいから、拝んでみたい。
「いやあ、その子ホントに可愛いのよ! どれくらいかって言うと全人類というか俺が今まで出会った女の子が石ころだったと気づくような……」
「うわあ夕希先輩ひどーい」
「わたしたちに失礼だよねえ、結衣ちゃん!」
ねー、と、葵先輩と一緒に顔を合わせながら文句を言う。
そんなわたしたちを気にすることなく夕希先輩は名前も知らないかわいい子についての話を続ける。
「……陸上部、かあ」
やっぱり楽しそうかも、陸上部。
その可愛い子にも会ってみたいし、夕希先輩もいるみたいだし。先輩がいるところが楽しくないはずがない。
なっちゃんも葵先輩も、中学生の頃陸上部ですごく楽しそうで充実してたし……今度は、わたしが充実する番だな。
「楽しいよー、陸上部! わたしの友だちもいるから、きっと楽しいよ!」
ニコッと、かわいらしい笑顔をわたしにむけてくれる葵先輩。
葵先輩の友人さん……葵先輩が友だちになる人が、悪い人なわけがない!