「ううん。なんでもないよ。その本は僕達が持っててもいいかな?」



「⋯はい、多分。」



いつものように手を伸ばしても届かなくて、春叶がしゃがんで受け取った。背が縮んでしまったのを改めて実感した。


「⋯不便ですね。」


「そうだね。⋯で、どうしてこの本を読んでいたのか教えてくれる?」


「僕も聞きたい⋯。」



二人がそう言うので、椅子に腰掛けて、ゆっくり話すことにした。


「⋯吸血鬼について調べてたんです。」


そう言うと二人は、え?と不思議な面持ちなった。


「な、なんでまた⋯⋯」


呆れたように汐遠が呟く。