「日向 蒼、僕の名前。」
私の名前を言って黙ったかと思ったら、次は突然自分の名前を言い出した。
本当によくわからない。
「私、もう帰ります。」
まったくつかめない状況に一礼して、私はその「日向」さんに背を向けた。
「大丈夫?」
なんでそんなこと聞くのか。
まだ中2だけど、家は近いし、遠くたって一人で家くらいまではいけるだろう。
何が『大丈夫?』なんだ。
「小学生ならまだしも、私中学生です。一人で帰れます!」
半ギレ気味で私はほぼ怒鳴りつけるような感じで後ろに向けた体を日向さんのほうに向けた。
でも、日向さんは表情一つ変えず、
「そうじゃなくて…」
そして視線を空にやった。私も連動しているかのように上を向いた。