「あの、私の名前がどうかしたんですか?」

誰だって聞くだけ聞かれて、答えて黙られたらイラつくに決まっている。
本当にこの人誰?

彼が何かを言った。小さすぎて、何と言ったかはよく聞こえなかったけど。

「なんか言いました?」

さっきまで怒っていたことをすっかり忘れ、私は目の前にいる不審な男を少し心配していた。