「そ、そんなんじゃ……」


「え〜、あ、でもさカノちゃんがいちばん自然体で接してるのは恭ちゃんだよね」


「きょ、恭也?」



なんだろう。


あたしはいま柚くんに精神攻撃でもされているのだろうか。


それともなにか試されてる?


こんな一年でいちばん大切なガーディアン祭の直前に?



「あ、あたしは……」



たしかに律くんの言動にはいちいちドキドキさせられるし、恭也に対してはたぶん誰よりも自分をさらけ出している気がする。


でも、いま柚くんに言われるまで、胸の奥にぽっと灯っている〝好き〟の種類を考えたことなんてなかった。



「カノちゃんはさ、たぶん自分の気持ちにも人の気持ちにも鈍感な子だから言っちゃうけど」


「え?」


「僕のこともちょっと考えてみてくれない?」



そ、それはいったいどういう意味で?


ふふ、と喉を鳴らして、あたしをのぞき込むように天使の笑顔を見せた柚くん。



「律や恭ちゃんも良いけど、僕も可愛いよ?」


「そ、それはわかってるけど……つまり、その、意識してって……こと?」


「うん、そう。それとももしかして年上好き?意外の意外でユキちゃんだったりするかな」



ふざけているのか、からかっているのか、真面目な話なのかハッキリしてほしい。


けれど、とりあえず柚くんが言いたいことは察した。


なんとも答えられずに口ごもりながら、あたしは慣れない心の部分を逆なでされたような気分で耳まで真っ赤にして面食らう。