「櫻井さん、あたしとバトルをしませんか」



キョトンとしている完璧執事さんに、ある提案を持ちかける。


バトルをして勝った方が負けた方のお願いをひとつ聞く。


条件はただそれだけ。


最初は渋っていた櫻井さんも、日向に見つめられたら「まぁいいでしょう」と簡単に折れてくれた。


勝負内容は簡単。


───じゃんけんだ。


一見運任せのようだけど、あたしたちにとってのじゃんけんは運で決着はつかない。


これは視覚能力と反射神経を駆使した能力勝負だったりする。



「過去マスター首席と現マスター首席の勝負か。じゃんけんってのが地味でダセーけど、面白そうじゃねぇの」


「見てなさい、恭也。あたしの本当の実力を見せてあげるわ」


「舐めてもらっては困りますね。私もそれなりにやり手だったんですよ。体力勝負ならまだしも、じゃんけんなら負ける気がしません」



とっとと勝ってこいよ、という恭也にあっかんべをかましながら、あたしと櫻井さんは勝負の体勢につく。



「「じゃーんけーん───」」