そんな自由なあたしたちを見ながら、櫻井さんは困ったような、ほっとしたような顔をしていた。


最終的には、



「きょちゃ! カノカ、いじめちゃ、めっ!」



バシッ! という痛そうな音とともに恭也を平手打ちした日向によって、場は強制的にシメられ、いつも通りのあたしたちへと戻った。



「えっと、櫻井さん」


「はい」



気を取り直して櫻井さんと向き合いながら、あたしは日向の手をギュッと握った。



「まだ、あたしが卒業できる保証はどこにもありません。でも理事長の話は前向きに考えさせてください。日向のことも、知れて良かった」


「そうですか……わかりました。たしかにまだ卒業まで二年以上ありますから、ゆっくり考えてください。これまで通りガーディアンとして学園を取り締まって頂けたら、私も助かります」



そうだ、そういえば櫻井さんはいろんな仕事をかけ持ちしてるんだっけ。


本人はサラッと言っていたけど、どう考えたって大変なはずだよね。


あたしは少し考えて、櫻井さんにニコッと笑いかけた。