「……不安にならなくてもいい。花乃香は俺たちが卒業させるから」


「律くん……」



大丈夫だ、と優しい眼差しを向けてくる律くんを遮るように、柚くんがあたしの目の前に飛び出してきた。



「カノちゃんだけじゃなくて僕たちも一緒に卒業しなくちゃね!」


「ああ、そうだな。全員で卒業しなけりゃ意味がない。俺たちはガーディアンっていうチームで、仲間なんだから」



そんな柚くんの口にどこからか出したペロペロキャンディを突っ込みながら、ユキちゃんが満足そうにうなずく。



「テメェら、なに良いとこ持ってこうとしてんだよ。俺が言い始めたんだろ。シメは俺にやらせろ」


「いや、なんのシメ……」


「うるせぇ、お前は黙ってろバカノカ」


「はぁ!? バカノカってなによ!」


「バカなカノカだからバカノカだろ! ばーか!」



唐突にはじまったあたしと恭也の喧嘩に、ユキちゃんが深いため息をついて「こら、お前ら!こんなとこでやめないか」とお母さんな仲裁にはいり。


柚くんはご機嫌にペロペロキャンディを舐めはじめ。


飽きた様子の律くんは立ったまま睡眠へはいる。