……弱いとか、ふさわしくないとか、資格がないとか。
「ばかみたい……」
そんなことを考えていた自分が恥ずかしくなるくらい、櫻井さんの瞳に囚われてしまいながら、あたしは細く息を吐いた。
こんなのってあるだろうか。
天涯孤独だと思っていたのに、こんなに可愛い弟に出逢えて。
絶望だらけだったのに、こんなあたしを希望だと言ってくれる。
「……あたしは、卒業できるのかな」
気づいたらそう零していた。
気まずさからうつむくと、となりから「ばーか」と恭也の声が聞こえてきた。
顔を上げた途端、ピンッと額を指で弾かれて、あたしはパチパチと目を瞬かせる。
「なに辛気臭ぇ顔してんだよ」
「恭也……」
顔だけは完璧な恭也に、顔がどうのこうの言われるのはいちばんムカつくんだけど。
……なんて、こんな状況で本当にばかみたいなことを思う。
「卒業できる、じゃねぇ。するんだろ」
ふん、と鼻を鳴らして相変わらず上から目線な恭也は、あたしを見下ろしながら腕を組んだ。