「単刀直入に申せば、姫咲様。……いえ、花乃香様。あなたには卒業後、有栖川学園の理事長になってほしかったのです」
「あ、あたしが理事長!?」
あんまりびっくりして声が上ずってしまう。
日向が弟というだけで人生最大級の衝撃だったのに、まさかこんな追撃がくるとは思わなかった。
「あなたは私の推測をはるかに超える天才でした。それゆえに、今年のチーム制の追加は予定外のこと……これに嘘はありません。日向様の入学についてもそうです。彼が姫咲様に惹かれたのは当然とはいえ、本来は予定にないことでした」
「そうだ……日向、あたしが入学するのを知って自分もって……」
「ええ。しかしどちらも結果的に良かったのかもしれません。日向様にはこれまでたくさん辛い思いをさせてしまったので、なおさら。そして、これまでのあなたを見てきてわかりました。やっぱりあなたは理事長にふさわしい」
優しさ。思いやり。覚悟。強さ。能力。カリスマ性。
それを全て兼ね備える、ガーディアンのリーダー。
あなたはまさに、クイーンズジョーカーだった。
そう言った櫻井さんに、あたしはどうとも反応できなかった。
こんなに情けない姿を見せてきたのに、どうしてそう言ってくれるのかわからなかった。
どう考えても、過大評価。
そう思っていることを察したのか、櫻井さんは「彼らを見ればわかります」と眼鏡の奥の瞳を優しく緩めた。