「……あれ、でも待てよ。つーことは、カノカも理事長の孫ってことになんのか?」



ふと思い至ったように首をひねった恭也の言葉に、櫻井さんが同意するようにうなずいた。



「元を正せば、姫咲様へ有栖川学園の招待状を送ったのはそう言った理由があったからです。……逆にこれまで招待状を送らなかったのは、」


「理事長が、あたしに会うわけにはいかなかったから……」


「そうです。理事長はあなたの存在を知りながらも、自分の立場を考えて避けていました。……本当はずっと会いたかったはずですが」



理事長……あたしの、おじいちゃん。


父方の祖父母がすでに亡くなっているのは知っているけれど、母方の祖父母の話は聞いたことがなかった。


触れられたくなかったのか、それとも敢えて触れなかったのか、今となってはわからないけど……有栖川学園の理事長なんて立場なら、言わなかったのも納得がいく。