「ああ、そんな顔なさらなくても大丈夫ですよ。そもそもここへ入学できた時点で、一定以上の能力は保証されていますからね。どこへ行ったってそれなりにはやっていけるはずなんです」


「……それもそうだな」


「ですが退学となった以上、なにかそれなりの欠陥がある……。だからその欠陥を埋めるための処置として、退学となった生徒には強制的に有栖川第二学園へ進んでもらいます」



有栖川第二学園……?


なんじゃそら、と零したのは恭也だった。


たしかにそう言いたくなる。


有栖川第二学園なんて、それこそ聞いたこともない。


顔を見合わせるあたしたちを一瞥し、櫻井さんはデスクの引き出しを開けて中から黒いリングファイルを取り出した。