「カノカ、いなくなる……いや……っ! やっ!」



そう言いながら、日向は声をあげて泣き出してしまった。


これにはさすがのあたしも狼狽した。


日向を抱いて立ち上がり、あやすように「大丈夫大丈夫」と声をかけながら背中を軽く叩いてやるも……まったく泣き止む様子はない。


あたしの胸に顔を埋めて泣き続ける日向の姿に、恭也や律くんまでもが困ったような顔をして寄ってきた。



「よっぽど我慢してたんだな」



ユキちゃんが日向の頭を撫でながら、ため息まじりの吐息を落とす。



「……でも、偉かった」



律くんの言葉を聞いた柚くんが同意するようにコクコクと顎を引いた。



「いっかいも泣かなかったもんねぇ、日向っち」


「それにしたって泣きすぎだろ。こんなん連れて入れねぇ」



それは……たしかにそうかも。


あたしはビンテージ感漂う重厚な扉の上にどっしりと構えているプレートへ目をやる。