その場所についた時には、もうみんな集まっていた。


あたしに気づいて真っ先に振り返った柚くんは、パッと顔を明るくして「カノちゃーん!」と飛びついてきた。



「ちょ、ちょっと柚くん、苦しいってば」



首に手を回してギューッと抱きしめてくる柚くんをなんとか受け止めながら、あたしは扉の前でたむろっていたメンバーたちを順に見る。


ヤンキー座りで、不機嫌そうな顔をしている恭也。


日向を片腕に抱いて、お母さん感ばりばりのユキちゃん。


壁に寄りかかって静かにまぶたを伏せていた律くん。


───そして、



「かのか……カノカッ……」



ユキちゃんの腕から自ら飛び降りた日向は、周りの焦りをよそに軽く地面に着地した。


そして、あたしに向かって両手を広げながら走ってくる。



「日向……」



柚くんの腕からスルッと抜け出してしゃがみ、体で日向を受け止めたあたしは、その小さな体を複雑な気持ちで包み込んだ。