◇
その場所についた時には、もうみんな集まっていた。
あたしに気づいて真っ先に振り返った柚くんは、パッと顔を明るくして「カノちゃーん!」と飛びついてきた。
「ちょ、ちょっと柚くん、苦しいってば」
首に手を回してギューッと抱きしめてくる柚くんをなんとか受け止めながら、あたしは扉の前でたむろっていたメンバーたちを順に見る。
ヤンキー座りで、不機嫌そうな顔をしている恭也。
日向を片腕に抱いて、お母さん感ばりばりのユキちゃん。
壁に寄りかかって静かにまぶたを伏せていた律くん。
───そして、
「かのか……カノカッ……」
ユキちゃんの腕から自ら飛び降りた日向は、周りの焦りをよそに軽く地面に着地した。
そして、あたしに向かって両手を広げながら走ってくる。
「日向……」
柚くんの腕からスルッと抜け出してしゃがみ、体で日向を受け止めたあたしは、その小さな体を複雑な気持ちで包み込んだ。