でも、相手はなんといっても葛鬼。
たとえガーディアン内だけで共有したとしても、その情報を得たことを気づかれてしまう可能性が高かった。
スター狩りを討伐しても、裏で働く暗幕者がいるかぎりは完全に討伐したとは言えない……。
最悪、討伐したと思っていたスター狩りが暗幕者の協力によって復活して不意をつかれることもあり得る。
だからあたしは敢えて誰にも言わず、ぎりぎりになって哲平に協力を要請したんだ。
哲平なら葛鬼のマークも薄いし、なによりソロ活だから動きやすい。
しかもこの学園でなにかと生徒たちから慕われている哲平のカリスマ性を信じて、いわゆる指揮官的な役割を任せた。
指揮してもらったのは、『ギオン』をはじめとしたスター狩り討伐の協力を承諾してくれていた生徒たち。
彼らにはハンチングではなく暗幕者を直接つまんでもらう。
そしてスター狩りについては、あたしが仕留める。
チームは連帯責任――葛鬼を仕留めれば、ハンチングは連帯退学にできるから。
ガーディアンのみんなには言えなかった。
言うわけにはいかなかった。
みんなは優しいからきっとあたしを守ってくれようとするし、あたしが葛鬼にデュエルを申し込むことを許してはくれなかっただろう。
……裏切った、といってもいいかな。
守るために、裏切った。
最悪あたしは負けても良かったんだ。
負けても暗幕者については哲平がどうにかしてくれるはずだし、それすらいなくなれば葛鬼以外のハンチングメンバーの誰かとデュエルをして勝てば良いだけの話。
まとまれば厄介。
でもひとりになった一般生徒との戦闘に、ガーディアンのみんなが負けるわけがないから。