葛鬼が実戦タイプじゃないのは最初から明確だけど、どちらかといえばイケイケゴーゴーファイティングタイプのあたしにとって、接近戦はバトルの基本形態だ。


ほんの昔、ちょっとした機会があってサバゲーをやったときも、あたしが迷わず近距離で敵を仕留めにいったから驚かれたっけ。


葛鬼を追うようにフィールドを駆け出しながら、呑気にそんなことを考える。



「ちょっと葛鬼、あんた鬼ごっこでもする気なの?」



既にフィールドを囲むジャングルの木々に紛れて姿を消した葛鬼に向かってそう投げかけた刹那、



「ん?」



シュッと空気を切り裂く音を捉えたあたしは、瞬時に急ブレーキをかけて止まり、ほんのわずかに上体を傾けて飛んできた鋭利な石礫を避ける。


しかしそれを避けた瞬間にはすでに首元を狙う石礫が迫っており、あたしは仕方なく素早く身を屈めてかわす。


息継ぎする間もなく銃の連弾のように飛んでくる石礫を必要最低限の動きで空気に流しながら、

ひとつだけ手のひらでパシッ!と受け止めて、あたしはその場で一回転し遠心力に乗せて思いっきり投げ返した。


石が飛んでくる方向に向かって目にも留まらぬ速さで飛んでいったそれは、木々が生い茂る中に吸い込まれていき──