「ねぇ葛鬼、そろそろ決着をつけようか」
そして、願わくば。
「いつまでもみんなを待たせるわけにはいかないし」
この先の未来のなかで、みんなとずっと一緒にいられたら。
「あたしも、ちょっとは本気にならないといけないみたいだからさ」
───なんて、ね。
クッとわずかに身を屈め、あたしは葛鬼に向かって身を放つ。
フッと感情を消したこちらの様子に警戒したのか、あたしの足が岩肌から離れたと同時、葛鬼も後方に向かって飛んでいた。
でも、
「……遅い」
つい数瞬前まで葛鬼がいた岩に片足だけ着地させ、瞬くまもなくふたたび宙を舞う。
予測したように葛鬼の目前まで迫ったあたしに、さすがの葛鬼も焦ったのか気持ちの悪い口を開くことなく左後ろへバク転しながら逃れた。
そのままフィールドを駆け出したヤツの後ろ姿に思わず、
「……つまんないの」
心の声がぽろっと落ちてしまう。