なんの真実がある。
そこに。俺たちがまだ見えていないところに。
カノカ……お前は、なにに苦しんできたんだ。
『あたしの父親は、三つの命を奪った。同じ飛行機に乗っていた二人の若きパイロットと……そして自らの命。不運な事故だった、なんてそんな言葉じゃ済まされないのはわかってる。いくら突発的な機体故障だとしても、六年前のあの日、その機体を運転していたのはあたしの父親だったんだから』
六年前──。
記憶が一気にフラッシュバックする。
六年前の航空機体の事故はそう多くなかったはずだ。
俺の知る限り、人の生死が関わるような大事故は一件だけ。
小型飛行機の墜落。
犠牲者は3人……乗車していたパイロットたち。
原因はたしか、エンジン部分の故障──。
記憶にある限り、それ以上の詳細は報道されていなかったはずだ。
当時はそれなりにニュースで取り上げられていたが、翌日には何事も無かったかのように別のニュースの話題でもちきりだったので、恐らく覚えている人間はほぼいないだろう。