「……カノカ」



お前はどうしてそうやって、なんでもかんでも自分ひとりで背負い込もうとするんだ。


頼れって。守るって……さんざん言ってんのに。

なんで、いつまで経っても信じてくれないんだよ。



『でも両親はあたしをちゃんと可愛がってくれてた。アメリカに行くことになったときも、あたしを思ってこそ了承したことだった。べつに、そこに愛がなかったわけじゃない。あんたが思ってるほど、あたしの家族は元来……歪な形はしてなかった』


『───でも〝犯罪者〟ですよねぇ?』



……犯罪者?


なんだそれ、と俺が思うのと同時、後ろから柚の「何それ」という不愉快そうな呟きが聞こえてくる。



『人を殺しましたもんねぇ? あなたの父親は』



くつくつと喉を鳴らす葛鬼に、カノカは数拍の間を置いたあと、『そうだね』と小さく同意した。


どういうことだ、と困惑する俺の傍らでユキは今まで見たことがないくらい複雑な顔をしていて。


思わず振り向くと、柚ははなから知っていたというような顔で目を伏せていた。


律だけは俺と同じような困惑の瞳をしていたけれど、周りなんてもう目に入っていないようで、ただひたすらにモニターの中のカノカを凝視している。