だって……



「ねぇ、なんでそんなおびえた顔するのさぁ」



ぷくっと頬を膨らませて、めいいっぱい背伸びをしながらボクをつついてくる柚にゾワッと全身の毛が逆立つ。



「やっ……カノカ、あげない……!」


「ええ、なーに日向っち。僕がカノちゃん取ると思ってるの?」



柚はボクがカノカといるとき決まってちょっかいを出してくるのだ。


しかも『カノちゃーん、僕もかまって』とか『日向っちだけずるい〜』とか、とにもかくにもカノカを取ろうとする。


さっき柚は『嫉妬』と言ったけれど、それはまさに自分のことなんじゃないだろうか。


可愛いものや甘いものが大好きで、カノカといちばん話が合うようだし……。


それに対して、ボクは話せないぶんカノカにただくっついているしか出来ない。


言葉の意味的にもっとも当てはまるものなら……『ライバル』。