考えれば考えるほど潤んでくる瞳をぎゅっと瞑ると、恭也が「バカチビ」といつものように暴言を吐いた。
わかってもらえるはずもない。
そう思っていたのに、直後びっくりするくらい優しく頬に触れるものに驚いて目を開けると、いつの間にか立ち止まっていた恭也が下からこちらを見上げていた。
見ればほかのみんなも同じように立ち止まり、ボクに困ったような笑みを向けている。
「なに言ってんだ、日向。嫌いなわけないだろう」
「……ユキちゃ」
でも、と言おうとしたボクを柚が遮るように首を振った。
「むしろ、みーんな日向っちに嫉妬しちゃうくらいには、カノちゃんは日向っちのことが大好きだよ」
「だいすき……」
反芻した言葉に同意するように律がわずかに顎を引く。
「ああ。……どんなに俺たちが仲良くなっても、たぶん花乃香のなかで日向がいちばんだろうな」
「いちばん……」
本当に、そうなら。
カノカがいちばんにボクを好きでいてくれるなら、他になにも求めることなんてないけれど。