「おいチビ、こっち来い」
ぶっきらぼうに言い放った恭也が、有無も言わさずノートパソコンを抱いた日向ごと担ぎ上げた。
最初こそ恭也を毛嫌いしていた日向も最近ではだいぶ緩和されて、今も驚いた様子を見せながらも恭也の髪にしがみついている。
まったく……これでいて意外と似たもの同士ってか。
まぁ相性はわりと悪くないのかもしれないとは思ってたけどな。
ちょこんと肩に腰を落ち着けた日向に思わず苦笑して、俺は脱いでいたジャケットを手に取った。
どんな状況でも冷静に物事を判断する力というのは、この学園生活において非常に重要になってくる。
そしてそれは、ガーディアンの中でも俺が背負う役割だ。
みんなを引っ張るのは姫ちゃんでいい。
そして俺はみんなが地に足着いて歩いて行けるように、その土台を固める縁の下の力持ちになろう。
「姫ちゃんに『ただいま』って言わせないとな」
まぁ……『母ちゃん』はさすがにゴメンだけど。