もどかしい思いはあれど、焦ると空回りしかねない。
それに姫ちゃんは俺たちが思っているよりも、ちゃんとリーダーとしての素質を持っている。
強さも、能力も……優しさも。
実質、彼女は正真正銘の首席なんだから。
「……なかのカメラも、だめ……かも」
日向は、難しい顔をしながら口を引き結ぶ。
けれどそれからすぐに首を振って「だいじょぶ」と言い直すと、目にも留まらぬ速さでキーボードを打ち始めた。
「カノカうちゅせる……こっちと、ちゅなぐ。まってて」
日向にしては長く話した方だ。
それきり口を閉ざしてしまったものの、日向が伝えようとしていることは汲めたはずだ。
なら、俺たちがこれからなにをすべきなのかはおのずと決まってくる。
「行くぞ、みんな」
日向が体とほとんど変わらない大きさのノートパソコンをギュッと抱きしめるように持ち上げたのを確認して、俺はメンバーに呼びかけた。
ちょうど柚と律の映像解析も大詰めらしく、ふたりともデータをまとめながら頷いてくれる。