「ユキちゃ」



分析を終えたデータファイルをUSBメモリに移して手渡してくれた日向は、少し疲れた様子を見せながらも〝はやく見て〟と言わんばかりに俺を見つめてくる。



「ありがとう、日向。よくやったな」



ぽんぽんと頭をなでてやりながら、俺は持っていたPCにメモリを繋いでファイルを開く。


入っていたのは今日の早朝から今までの学園内に設置してある全監視カメラの映像だ。


すべてを同時に再生しはじめると、みんなも揃って覗き込んでくる。


日向だけはもう一度自らの仕事場であるPCに向かい、ふたたび別の作業をはじめたようだった。


正直にいえば、日向がやっていることはあまりに複雑すぎて俺たちにもわからないことが多い。


しかし意味のないことはしないはずなので、あとは任せて俺も映像に意識を集中させる。