「ハッキリ言わせてもらうけど、そんなんじゃ到底敵わんで。アイツは俺からしても厄介なヤツや。だからこれまでタイマン避けて来たわけやし」
「わかってる……」
「あんたはまず自分に負けてる。もっと堂々とすればええんや。この学園でガーディアンってもんを背負ってるリーダーなんやから」
天下らしくな、と哲平は私の頭にポンッと手を置いた。
いつか誰かにもされたその感覚に思わず目が潤みかける。
もう……これからが勝負なのに、今から弱気になってどうするの私。
決めたんでしょ、この先に進むって。
「アイツの厄介なところは情報源や。口車にさえ乗せられなければ運動能力は大して高くないし、お嬢なら余裕で突破できるやろ」
「……できる、というか、して見せる」
あんなヤツに負けたくない。
負けてしまったら──今度こそなにもかも否定することになってしまう。
私のこれまでの人生を。
「──行こう」
顔をあげてキッと表情を引き締めた私を見て、哲平は満足そうに目を細めた。