そんなことない、と言い返したい。


けれどこの選択が間違っていることなんて、はなからわかっていた。


わかった上で、私はこの道を進むべきだと判断したのだ。


メンバーのためのいうよりは自分のため。


これは本当に自分勝手な、私本意の選択でしかない。


傷つけることも、裏切ることも、わかってる。


約束だって守れない。


すべてを守りたいと思っていたけれど、私には無理だった。


最初から……そもそもここへ来たこと自体が間違っていたのかもしれない。



「櫻井さん……あなたはなにか勘違いをしてるよ」


「…………」


「私はそんなに強い人間じゃない。器用な人間じゃない。だから、なにかを犠牲にしないと守りたいものを守れない。なにもかも守りたいと思っても、私には……そう思うことすら欺瞞だと感じてしまう」



守れなかった過去がある。


大切な人を。失いたくなかった人を。


そんな思いをまたするくらいなら、私は自らを捨ててでも大切な人を全力で守りに行く。


自分が犠牲になるのはたいしたことじゃない。



「だから、止めないで」



これは私が選んだ道だ。


もう今さら後戻りは出来ない。