慌てて「大丈夫だよ」と優しく声をかけると、日向はおずおずと顔を出す。
怖がらせちゃったかな……。
まぁ、櫻井さんもいるしね。
仕方なくおいで、と手を伸ばすと、ほっとしたようにこちらへ駆け寄ってきた。
「なんでこんな時間に起きてるの?」
日向を体で受け止めて、あたしはなるべく穏やかな口調で尋ねる。
けれど、ふるふると首を振るだけで答えようとはしないので、それ以上追求はしないことにした。
きっとまたあの真っ白な部屋の中で、ひたすら仕事をし続けていたんだろう。
あの関係のことを訊くと、日向はいつも決まってだんまりを決め込むんだ。