「櫻井さん──あなた、何者なの」



この学園に来てから、役職柄もあって色々な人間を見てきたけれど。


……確実にこの人は群を抜いている。


あたしの呆然とした問いかけに、櫻井さんは微笑してすっと目を細めた。



「私はただの執事です」


「っ……嘘!」


「嘘ではありませんよ。このマスターズの管理と──ガーディアンの監視、が主な仕事の執事ですから」



あたしたちの、監視?



「……どういうこと?」


「どうもこうも」



監視なんて聞き捨てならない。


あたしはいつ何が起こっても良いようにさりげなく戦闘態勢を作りながら、キッと櫻井さんを睨みつけた。


するとなにが可笑しかったのか、くすりと笑った櫻井さんは諭すように小さく首を横に振る。