「そんな状態でひとりでどっか行くとか、カノちゃんってチャレンジャーだねぇ」
「……ほんとにな」
柚くんと律くんの棘のある言葉が胸に刺さって痛い。
ていうか、みんな怖い。
目を潤ませていると、恭也が大げさにため息をついた。
「んなこと言ってる暇あったら、なんか用意しろよ。ただでさえ弱ってるところに追い討ちかけんじゃねぇ。……まぁ、俺が言っても説得力ねぇけど」
あぁうん、いちばんキツかったのは恭也のドアアタックだからね。
でもまさかこんなタイミングで庇ってくれるとは思わなくて、あたしはぽかんと恭也を見上げた。
みんなも驚いたような顔をしている。
「……あぁ、でも恭也の言う通りだな。すまん姫ちゃん。ちょっと気が動転しててな」
「……ううん、あたしが悪いから」
ユキちゃんはやっと表情筋を緩めて、仕方なさそうに笑ってくれた。
柚くんも律くんもしょぼんと肩を落としてしまう。
あれ、と思った。
案外恭也は、みんなのことをまとめる力があるのではないだろうか。
傍若無人だし、見た目チャラいし、ヤンキーだし、どうしようもないところばかりだけれど、根は良い奴だからこそ得られる信頼、みたいなものが。
あぁそっか、と納得する。
恭也はただ不器用なだけなんだ。
自分に対しても、他人に対しても。