恭也はエレベーターは使わずに、螺旋階段を登りながら「あぁ、そうだ」と思い出したようにあたしへ視線を落とす。



「雪がお怒り中だから、覚悟しとけよ」


「へ……?」


「そんな状態で消えるからだろ、アホ。あんまり心配させんな」


「あぁ……うん、ごめん……」


「ったく、調子狂う」



……調子狂うのは、あたしの方なんだけど。


ユキちゃんはともかく、恭也がそんなに心配してくれてるとか思ってなかったし。


マスタールームに着くと、いつの間に起きたのか、みんなが揃いに揃って駆け寄ってきた。


とくにユキちゃんの顔は予想以上に厳しくて、



「姫ちゃん、自分が何したかわかってる?」



とひどく怒りを含んだ声音で問いかけられた。


なにと言われても、シャワーを浴びて着替えただけなんだけど……と心の中で泣きべそをかきながら「ごめんなさい」と謝る。