時刻は午前6時前。


とりあえず汗で体がべたべたして気持ち悪いので、シャワーを浴びることにする。


未使用の常備バスローブをクローゼットの中から取り出して、部屋の隅に備え付けられているシャワールームへ。


躊躇いもなく服を脱ぎ、軽く畳んで置く。


シャワールームひとつにしろ、高級ホテルのスイートルームばりで、さすがに慣れてはきたけれど、何とも落ち着かない。


頭から温かいシャワーを浴びながら、はあ、と息をつく。


熱を出したのは、いつぶりだろう。


……いや、いつぶりかって話なら、たぶんそんなに昔の話じゃない。


むしろ熱は昔からよく出す方で、少し無理をすると体調を崩すのも生まれつきだ。


でも、こんなふうに誰かに看病をされたのは……本当に、いつぶりかわからない。


小さい頃──あたしが日本を発つ前。


まだ7歳くらいの時が最後かもしれない。


そう、両親と離れる前の話。