その日、あたしは寮へは戻らずにマスター棟に泊まった。


まぁ、あたしだけではなくメンバー全員。


大丈夫と言ったのに、ユキちゃんは責任があるからと首を縦に振らないし、恭也も律くんも柚くんも毛頭帰る気などなかった。


日向に関しては、なおさら。


そして、どうやらあたしの体は思ったよりも限界だったらしく、夜がふけるにつれて熱もあがっていった。


付きっきりでユキちゃんたちが入れ替わりで看病してくれていたのは気づいていたけれど、口を開く余裕もなく……。


気づけば、翌朝。



「……んん」



窓を覆うカーテンの隙間から漏れでる陽光に、あたしは水底から湧いた水玉のように目を覚ました。


あぁ、もう朝か。 起きなきゃ。


そんなことをぼんやりと思っていつも通り体を起こそうとしたら、節々が鈍く痛んだ。


いっ、たたたた……。


まだ熱下がってないんだ、あたし。


起きたてから憂鬱な気分にため息が零れるなか、ふと視線をずらす。


そして傍らでベットに上半身を預けるように眠っている恭也の姿を捉え、狼狽した。