受け取るものだけ受け取って、三人をぽいっと外へ放り出したユキちゃんは、やれやれと言わんばかりに肩を竦めた。
それから黒いバックからなにやら医療道具を取り出して……
って、え?
「ユキちゃんそんなの持ってきてたの……」
この島に? 許可出てたの? 嘘でしょ?
聴診器をはじめとしたそれらを一通り取り出すと、中から綺麗に折りたたまれた白衣を取り出して羽織る。
手早く道具をポケットにセットし、首から聴診器をかければ……おお、医者バージョンのユキちゃんの完成だ。
やっぱり、白衣が似合いすぎる。
「何事も形からってな」
「……はぁ」
相槌なのかため息なのか自分でもよく分からない返事をしてから、ん? 待てよ? と首を傾げる。
「てことで、姫ちゃん、ちょっと」
「え?」
「色々調べさせてもらうから」
いやいやいや、ちょ、待っ……!
ユキちゃんの顔は至って穏やかなのに、その瞳がまったく笑っていない。
震え上がるあたしに、ユキちゃんはにこりと悪魔に似た笑顔を見せた。