「今だけだよ。姫ちゃんが元気になりゃ、いつも通り姫ちゃん大好きっ子になるさ」
「う、うん……」
けれど、日向の方から離れていくということがこれまでなかったせいだろうか。
いつもそばにあった温もりがなくなって、ひどい喪失感に襲われる。
そんなあたしの心の隅々まで読み取ったように、ユキちゃんはふっと表情を和らげた。
「ごめんな、もっと早く気づいてやれば良かったのに」
「っ……え、」
「ここ最近、ずっと顔色が優れないのはわかってたんだけどな。姫ちゃん、そういうの隠そうとするだろ。だから触れられるのが嫌なのかと思って、敢えて触れないでいたらこのざまだ。反省してるよ」
「そんな、反省だなんて。ユキちゃんはなんにも悪くないよ。あたしが自分の体調管理も出来てないから……」
ユキちゃんは観察眼が人一倍鋭い。
それは、あたしも知っていた。
だから人材選びを頼んだんだから。
しかしそれにしたってここ数日の不調は、あたしも自覚してさえいなかったのに。
無意識に隠そうとしていたことまで、彼にはなにもかもお見通しだったなんて。
申し訳ないを通り越して、なんだか恥ずかしくなってくるレベルだ。