「日向、ごめんね。大丈夫だよ」
「そうそう大丈夫、心配ない。でもな、日向、今は少し姫ちゃんを休ませてやらねえとだめだ。日向も元気な姫ちゃんでいてほしいだろ?」
日向の頭を撫でながら、ユキちゃんが言い聞かせるように、ゆっくりとした口調で語りかける。
なんだろうこの神がかった面倒見の良さは。
いやいやが始まらないかとヒヤリとしたものの、日向は口を一文字に結んで、こくりと頷いた。
のそのそと自力でベットをおりると、ちらりとあたしの方を振り返ってから、タタタッと駆けていく。
……あれ、なんだ、この感じ。
胸がきゅうってするんだけど。
親離れする子どもを見送るような複雑な心境に、ふと泣きたくなってユキちゃんを見ると苦笑いが返ってきた。