体が弱っている時というのは、なおさら。
思考が負の方向に持っていかれがちで、だからきっとあんな夢を見たんだろう。
わざわざ夢で見なくても、嫌になるくらい焼き付いているあの時の光景を。
「姫ちゃん、入ってもいいか」
「……ユキちゃん? うん、どうぞ」
ふとそんな声に我に返ると、カーテンの隙間からユキちゃんや恭也、柚くんが覗き込んでいた。
いつの間にか、ベットに這い上がろうとしている日向もいる。
ユキちゃんは遠慮がちに入ってくると、日向をひょいっとベットの上へ乗せて自分も浅く腰掛けた。
「やっぱり体調悪いんだろ」
「っ……いや、そんなに……」
大丈夫だ、と首を振ろうとしたら、首筋から頭の脳天にかけて鈍く痛みが走った。
思わず眉間に皺がよる。
その瞬間、ユキちゃんはいつも穏やかな表情引き締め、真剣味を帯びた顔へと変化させた。
「ごめんな」
そう言いつつ、確認するようにあたしの額へと大きな手のひらを当てる。
そしてそのまま手を滑らせて首の裏へ。
ひんやりと冷たいその手に、ぴくっと体が揺れた。