「ちょっと風にあたりたくなって。良かった、あたしもまさかこんな所で寝るとは思ってなかったよ。戻ろっか」
壁に手をついて、重い体に持ち上げようと足腰に力をいれる。
しかし、どうも上手く力が入らない。
「……あ、あれ」
「………………」
見かねた律くんが、まるで子どもを抱き上げるみたいに、あたしの両脇に手を差し込んで抱き上げた。
突然宙に浮いてぎょっとするものの、
「あ、ありがと。……その、おろして?」
なぜだろう、一向に足が地面につかない。
律くんは無表情を崩さないまま、宙ぶらりんになっているあたしをじっと見つめる。
視線が熱い。……熱すぎるよ、律くん。