「……まぁ、そんなに難しい話じゃない。あいつらは基本的に、自分より弱いやつを標的にしてるからな。単純にあいつらに負けない奴に相手をさせればいい」


「というと?」


「1vs1ではなく、あくまで日常的にあいつらからスターを奪うんだ。この学園にはだいたいプライドが高いヤツばかりだから戦闘吹っかけられりゃ、大抵の奴は受けるだろ? それを利用する」



まぁ、たしかにそうか。


新カリキュラムで追加された『チーム要素』を活用して、ハンチングに痛手を負わせることさえ出来れば。


たとえそこで全てのスターを奪えなくても、ペナルティを消化する余裕がないくらいの数になれば、あとはあたし達でどうにか出来るかもしれない。



「だがその為には、相応の人材と手を組む必要がある。人材選びと交渉はお前らに任せるけど、あくまでこれは独断行動だ。俺が関わってるってバレたらまずい。そこは頼むよ、お前ら」


「ったく人任せだな、教師のくせに」


「裏でバックアップはするからさ」



バックアップ、ね。


なっちゃんにいったいなにが出来るのかは疑問だけれど、いずれにせよ、この問題は放っておけるものじゃない。


あたしは立ち上がりがてら日向を膝から下ろして、ひとりでソファに座らせる。


不安そうに見上げてくる日向の頭を撫でて、なっちゃんに向き直った。