「……カノカ?」



膝に座っていた日向がはっとしたように、あたしの名前を呼ぶ。


慌てて「大丈夫だよ」と笑みを作るも、目眩は一向におさまる気配がない。


……最近、寝不足だったから、かな。



「姫ちゃんどうした? 顔が青いぞ」



日向の声で気づいたのだろう、ユキちゃんが腰を浮かせて心配そうな顔をする。


みんなの視線がひしひしと痛い。


まったく大げさだな、これくらいで。



「大丈夫。話続けて、なっちゃん」


「でも……」


「いいから」



口調を強めて促すと、なっちゃんは面食らったように肩を竦めて頷いた。