「僕らが怒るって分かっててやってんだったら、そりゃ潰すしかないよねぇ」


「柚、分かったから落ち着け?」



ユキちゃんが宥めると柚くんはケロッと顔色を変えて「落ち着いてるよー?」とまたキャンディをなめ始めた。


はあ、と頭を抱えるユキちゃん。


つくづくお母さんって大変だよね、と同情の視線を向けると、曖昧なカラ笑いが返ってきた。



「で、あたし達は具体的にどうすればいいの? 結果論で言うなら、なっちゃんはハンチングを退学にさせたいんだよね?」


「まぁな。でもその為にはお前らだけじゃダメだ」


「どーいう意味?」


「簡単な話だよ。あいつらは力を持ちすぎてる。お前らだけじゃ退学に出来ない」



確信したような言葉に、愕然とした。


しかし同時に『あぁ、確かにな』と思う。


────力を持ちすぎている。


その言葉にひどく打ちのめされたような、目の前に突然現実を突きつけられたような。


……あれ。


ぐらん、と目眩がした。