「タチが悪いのが五人も集まったら、そりゃバランスも崩れるってもんだ。実質、俺らよりも学園をシメてるといってもいいんじゃないか?」
ユキちゃんがやれやれ、と言わんばかりに首を振る。
「まぁ、確実に脅威ではあるだろうな。なにしろ、ハンチングのメンバーは葛鬼以外の全員がカリスマだ。スター狩りになれるくらいの実力を持っているんだよ」
ならどうするか、となっちゃんはこちらへ向き直る。
すると、柚くんが「んー」と間延びした声を出した。
見れば、珍しくつまらなそうな顔で視線を落とし、目の前のチョコレートの山を見つめている。
その瞳がひどく冷たいものに見えて、あたしは息を呑んだ。
「でもさ、そいつら別に僕らの敵じゃないよね? てゆーか、敵にもならないし」
「柚くん……?」
「可愛くないんだよね。そいつらってさ、ただいきがってるだけじゃん?
カノちゃんとか恭ちゃんじゃなくて、ひなっちを狙ってきたのは、自分たちが敵わないってわかってるからでしょ」
そーいうのむかつく、と柚くんは小さく口角をあげて言い放った。
その瞳はまったく笑っていない。
どうやらご執心なのは、律くんと恭也だけではなかったらしい。