「律くん、あの、ありがと。でもあたしも日向も大丈夫だったから、今はもう少しなっちゃんの話聞こう?」
言い聞かせるようにそう言うと、律くんは不服そうな顔をしながらも、こくりと頷いて腰をおろした。
手懐けてるねぇ、と柚くんのからからとした笑いが飛ぶ。
「なっちゃん」
しかしながら、怒りを抑えきれていないのは律くんだけではなく、恭也も然り。
さっきから右端でイライライライラ、貧乏揺すりが止まらない。
先を促すと、なっちゃんはひとつ頷いて、ホワイトボードにペンを走らせた。
「他言無用だがな、これはほぼ俺の独断に過ぎないんだ」
「独断?」
「あぁ、正直最近のスター狩りの奴らは目が余る。このままだと全体的なバランスが崩れかねん」
葛鬼神楽、という言葉を中心に枝分かれして進んでいく生徒達の名前。
なっちゃんによれば、スター狩りを行っている生徒は葛鬼をリーダーとした五人グループらしい。
グループ名は『ハンチング』。
旧カリキュラムでは個人個人でスター狩りを行っていた生徒たちが集まって出来たものだとか。