「葛鬼にペナルティは?」



なっちゃんが確認するかのように訊いてくるので、あたしは「もちろん」と頷いて返す。



「規約違反分のペナルティは課せたけど……でも、上手いんだよね。葛鬼は違反になるかならないかのギリギリのラインを狙ってるから、全然甘いっていうか」


「だからいつまで経っても退学に出来ないか。……頭がいいんだな、あれは」



ユキちゃんが難しい顔で頷く。


そう、あんな奴が三年生になるまで生き残っているのは、そういう悪知恵のお陰だ。


刃物禁止という規約の中で、葛鬼は普段から使っている普通のジョウロを凶器として使用した。


ガーディアンに対して攻撃を仕掛けることは禁止とされているので、それに対してのペナルティは課せられるけれど、そちらに関してはギリギリ引っかからない。



「葛鬼神楽……あれが新カリキュラム施行で大人しくしているわけがないとは思っていたが、まさかガーディアンにまで手をかけようとするとはな」


「なっちゃんも知ってるの〜?」



柚くんが足をぱたぱたと揺らしながら、首を傾げた。


その手には、半分ほどにすり減ったぺろぺろキャンディが握られている。
 

知ってるもなにも、となっちゃんは苦虫を噛み潰したような顔をした。