「つくづく厄介なもんだな、マスターコースってのは」



恭也が苦々しく呟く。


あたしと同じく事態を察知したんだろう。



「……で、どうします? まぁそちらの抱える"情報"を全て学園中に流出されたくなければ、受けるしかないでしょうねぇ」


「テメェふざんけんのも大概にしろよ!」


「今日のところはこれで失礼致しますがね。また近いうちに、お誘いにきますわ」


「っ、おいコラ待ちやがれ!」



さっと身を翻して歩いていく葛鬼を追いかけようとした恭也の制服を掴む。



「おわっ!」



グンッ、とつんのめり、恭也は忌々しそうにこちらを振り返った。



「なにすんだよ!」


「追いかけてる場合じゃないでしょ。一刻も早く帰って確認しなきゃ」



努めて冷静な声音でそう言うと、恭也は舌打ちをこぼして「くそっ!」と叫んだ。