「また物騒な名をつけられたもんですねぇ」
「っ……白々しい……!」
「まあ話が早くて助かりますケド。ボクは有栖川日向に特殊フィールド下のデュエルを挑みにきたんですよぉ」
「あんた本気!? 日向がそんなの受けるわけないでしょ!」
「おや、本当に?」
動じない葛鬼に嫌な予感を覚えた。
そもそも葛鬼神楽は馬鹿じゃない。
なんの後ろ盾もなく、ガーディアンにデュエルを挑んでくるわけがないのだ。
あたしが……いや、あたしたちガーディアンがそれを受けざる負えなくなるような何かを隠し持っているからこそ、出来る行動。
それが何か……、
「余談ですが、ボクの通称はハンチングクラッカー。言葉通り、クラッカーが至高の趣味でしてねぇ」
あたしの思考回路を読んだかのように、葛鬼は流暢に声を放つ。
「……なるほどね。脅迫材料は揃ってるって言いたいわけ」
ハンチングクラッカー────つまり、ありとあらゆるコンピュータシステムに潜り込み狩りを行う天才。
どの程度のものかは知らないけれど、
……まあ恐らく、その能力によってなにかしらの機密情報を得ているんだろう。
あたしたちを脅迫出来るくらいの"何か"を。
足元の日向がぎゅっとあたしの足にしがみついてくる。
視線を落として見れば顔面蒼白で、震えながら葛鬼神楽を凝視していた。
……いや、違うよ、日向。
これは日向が悪いわけじゃない。