「カノカ……?」



恭也が怪訝な顔をして振り返る。


そしてあたしの顔を見た瞬間、ぎょっとしたように後ずさった。



「顔が般若みたいになってっぞ……おい……」


「うるさい。黙れ」



ぴしゃりと言い放てば、恭也はポカンとして思わず、と言ったように口を閉ざす。


仕方ない。


今のあたしは、きっとあたしにだって止められない。


……こいつは、よりにもよって日向を傷つけようとしたんだから。



「まぁ、ペナルティの前に───いったいどういう了見でうちの日向を狙ったのか……力づくでも聞かせてもらうけど」


「……さすが、ガーディアンのリーダーともなると気迫が違いますなぁ。そっちの単細胞とは訳が違う」



ふふ、と気味悪く口角をあげて、葛鬼は肩を竦めてみせる。


恭也が「あぁ!?」と激しく声を荒らげたけれど、葛鬼はまるで視界に入っていないかのように全く反応を見せない。


つまり、あくまで葛鬼が用があるのは、あたし……もしくは日向、ということだろう。


さすが3年マスターコース。


他の生徒とはなにもかも段違いだ。


正直、真っ向勝負で勝てるかどうかも怪しいかもしれないな、と苦笑が零れる。