葛鬼は、ゆっくりとこちらを振り向いた。
狐のような細く吊り上がった瞳が、鋭く、そして面白がるようにこちらを見据えてくる。
「これはこれは、天下のガーディアンの皆さまじゃないですか」
「あぁ? いきなりんなもん飛ばしといて、ずいぶん白々しいこと抜かすんだな、テメェ。いい度胸じゃねぇか」
「……そちらは先輩への言葉遣いってもんがなってないですなぁ」
「先輩だぁ? ここではんなもん関係ねーだろうが。笑わせんな」
バチバチバチッ! と激しく青と赤の火花が衝突し、散るのを見た。
あぁ、恭也ってば……完全に頭に血が上っちゃってる。
────とはいえ。
「……さっきのは、あたしもちょっと許せないかな。葛鬼神楽" センパイ "」
ゆらりと立ち上がり、あたしは日向を背中に隠して葛鬼を冷たく睨みつける。
「あぁ、美麗な顔は怒っても素敵ですねぇ。……クイーンズジョーカー?」
「っ……なんでそれを」
やっぱり、この男は侮れない。
あたしがクイーンズジョーカーという称号を得ているのは、ガーディアンのメンバーしか知らないはずだ。
日向が作ったあの厳重セキュリティが組み込まれているコンピュータシステムの中に入り込んだのか、それとも別のルートからか。
まぁ、どちらにしても、
「葛鬼神楽───ガーディアンの名において、あなたにペナルティを与えます」
こいつは、してはいけないことをした。