「で、なっちゃん先生、今日はどうしたの? なにか用があって来たんだよね?」
そう切り出すと、なっちゃんは思い出したように頷いた。
みんなにどこでもいいから座るように指示を出すと、壁際に寄せてあったホワイトボードをガラガラと引っ張ってくる。
「ほら」
ちょうど恭也が作っていたホットミルクとコーヒーも出来上がったらしい。
相変わらずの仏頂面で、白く柔らかい湯気をあげている液体が入ったカップをテーブルに置いてくれる。それも、二つ。
「ありがとう……でも、なんで二つ?」
「そのチビも飲むだろ」
ついでだ、と言い放って、恭也はいつもの定位置へと歩いていってしまった。
あたしは呆然とその背中を見送る。
……驚いた。
頼んだわけでもないのに、まさか日向の分まで作ってくれるなんて……。
「良かったね、日向」
「……ん」
こくりと頷く日向もどこか嬉しそうに見えた。