でもその姿を見ていたら、なんだかおかしくなってきて自然と笑ってしまっていた。
案の定恭也にキッと睨まれて、怖い怖い、とさらに笑っていると、
チリンッ! と小鈴が鳴るような音が響く。
エレベーターが到着する音だ。
「あ、帰ってきた」
反射的に振り返ると、思っていた通りマスターズルーム直通のエレベーターが開き、ユキちゃんと柚くんがぐったりとした足取りで出てきた。
「づっがれだぁぁぁ」
「いやぁ、たしかに今日はキツかったな」
ひとり何事もなかったかのような顔をして後から出てきた律くんが、あたしに気づいて優しく目を細めた。
「……ただいま、花乃香」
「お、おかえり。ふたりもお疲れさま」
どきん、と心臓が一瞬高鳴るのを感じて、あたしの声は若干裏返った。
するとなぜかキッチンから威圧が伝わってくる。