『君はただ指示されたことをやっていればいい。世間からもてはやされていようが、才能があろうが、所詮はただのガキだ』


────……そんなの、


『これは君がいたせいで起きたんだ! 我々の失態になるんだぞ!? わかっているのか!? ったくこれだからガキは……!』


蘇る記憶、焼き付く大人の怒りの形相。


震える子ども相手に、その人たちは気が狂ったように怒鳴り散らし、ついには手を上げる。



「……カ、」



嫌だ。こんなの、思い出したくない。


ここは、あたしのいる場所じゃない。


違う。違う違う違う違うちがう……!



「カノカ!」


「っ……!」



激しく揺すぶられて、あたしは突如として襲ってきた虚無感と現実感の濁流に飛び起きる。


あんまり世界が揺れるものだから、目の前にちかちかと星が舞った。



「っ、ちょ、」


「おい、お前どう……」


「ええい、離せ!!!」


「ぐっ……!?」



起きているにも関わらず、あたしを揺するのをやめようとしない恭也を思い切り足蹴りで突き飛ばす。